Time with WAR #1
このブログを始めてからひょんなことで知り合いになったTorigenさんのブログ「Tori's Triangle」(LINKのところで紹介しているので、ぜひ覗いてみることをお奨めしたい)に寄稿することになった。音楽の現場のエピソードをコメントしていたのだが、字数の制限とかがあって中途半端になっちゃうので、それでは連載投稿しようとなったのだ。
Toriさんとその仲間はThe CrusadersというJAZZ~FUNKグループの熱狂的なファン。彼の仲間の半斤さんは「クルセイダーズが好きで・・・」というブログを主宰してて、ディスコグラフィーはもとより細かなデータまでフォローしている。Train Man of Crusaders(電車男)なのである。その知識は、一応はプロのぼくなんかよりはるかに詳しい。クルセイダーズの話をしたら負けるから、ブラック・ミュージック全般、ジャズ・ミュージシャンの素顔というようなこちらが「勝てる」テーマで寄稿することになった。ぼくのブログは最近、犬の話ばかりなので同時掲載にさせていただくことでDEAL!ふたつのブログにまたがる第1回は、WARというグループとの付き合いからコンサートやレコーディングの現場を紹介することになった。
Time with WAR #1
WARのメンバーと初めて会ったのは1977年のことだった。この年、後楽園球場でNCAAアメリカン・フットボールの公式戦「ミラージュ・ボウル」が行われ、日本のグループ「ゴダイゴ」とWARが前夜祭で演奏したのである。当時のWARは『世界はゲットーだ!』の大ヒットで、飛ぶ鳥も落す勢い。まだ、フュージョンという言葉は一般化していなくて(アメリカでは既に使われていたのだが)、クロスオーバー・ミュージックが注目されだした時期だ。WARはstuffやハービー・ハンコック、チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー、クルセイダーズらのジャズ・オリエンテッドなグループよりも泥臭いダウン・トゥ・アースな音楽が持ち味であった。洗練されたフュージョンではなく、ストリートミュージックに近いブラック・ラテン音楽。あえて相似形を探すならば、スライ&ザ・ファミリー・ストーンがストリート・テイスト、ファンク・テイストにおいて近いと言えるかな。ゴールド、プラチナのセールスを記録していたWARは、アメリカ国内のプロモーションもド派手。サンセット大通りに本物の戦車を走らせたのもこの頃である。
さて、そんなWARが来るというので、当時ぼくが寄稿していた『FMレコパル』誌がグラビア頁でとりあげようということになったのだ。FM誌として後発の『レコパル』では、絶対に他誌と同じ方法で記事を作らない、というコンセンサスが編集陣と執筆陣の間で出来上がっていた。そこで、ぼくが思いついたのは、ミラージュ・ボウルということもあって、WARのメンバーにアメラグの格好をさせて写真を撮り、グループ内での各々の音楽的役割をアメリカン・フットボールのポジションで説明してもらう、というアイデアであった。(こういう企画はその後もしばらく続き、stuffやサリナ・ジョーンズらに浴衣を着せたりして、レコパルのアホ企画と笑われたものだ。ライブ・コミックだって創刊当時は嘲笑の対象だったんだぜ。チャーリー・ミンガスまで大喜びしたのにね)
WARの連中は全員大喜び。なにしろ、ヘルメットには編集者と一緒に徹夜で作った「WAR」のロゴまで入っているのだ。
「こんなインタビュー、フォト・セッションは初めてだぜ。なんでも注文してくれ!今日はお前がヘッド・コーチだから、言うことを聞くからな」
と言って、注文どおりに話をしてくれたのである。
翌年、メンバーのひとりで唯一の白人メンバーであるリー・オスカーが、個人的に日本にやって来た。日本のディストリビューターであるトリオ・レコードのA&Rが、
「ミラージュ・ボウルの時に、変なインタビューをしてくれたジャーナリストに会いたい」
とリーが言っている、ついては会ってあげてくれないか、と連絡してきた。何か面白いことが起こりそうな予感がした。だが、後年になってリー・オスカーやWARのメンバーと深い付き合いをすることになるとは、この時は思いもしなかったのだった。
Toriさんとその仲間はThe CrusadersというJAZZ~FUNKグループの熱狂的なファン。彼の仲間の半斤さんは「クルセイダーズが好きで・・・」というブログを主宰してて、ディスコグラフィーはもとより細かなデータまでフォローしている。Train Man of Crusaders(電車男)なのである。その知識は、一応はプロのぼくなんかよりはるかに詳しい。クルセイダーズの話をしたら負けるから、ブラック・ミュージック全般、ジャズ・ミュージシャンの素顔というようなこちらが「勝てる」テーマで寄稿することになった。ぼくのブログは最近、犬の話ばかりなので同時掲載にさせていただくことでDEAL!ふたつのブログにまたがる第1回は、WARというグループとの付き合いからコンサートやレコーディングの現場を紹介することになった。
Time with WAR #1
WARのメンバーと初めて会ったのは1977年のことだった。この年、後楽園球場でNCAAアメリカン・フットボールの公式戦「ミラージュ・ボウル」が行われ、日本のグループ「ゴダイゴ」とWARが前夜祭で演奏したのである。当時のWARは『世界はゲットーだ!』の大ヒットで、飛ぶ鳥も落す勢い。まだ、フュージョンという言葉は一般化していなくて(アメリカでは既に使われていたのだが)、クロスオーバー・ミュージックが注目されだした時期だ。WARはstuffやハービー・ハンコック、チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエバー、クルセイダーズらのジャズ・オリエンテッドなグループよりも泥臭いダウン・トゥ・アースな音楽が持ち味であった。洗練されたフュージョンではなく、ストリートミュージックに近いブラック・ラテン音楽。あえて相似形を探すならば、スライ&ザ・ファミリー・ストーンがストリート・テイスト、ファンク・テイストにおいて近いと言えるかな。ゴールド、プラチナのセールスを記録していたWARは、アメリカ国内のプロモーションもド派手。サンセット大通りに本物の戦車を走らせたのもこの頃である。
さて、そんなWARが来るというので、当時ぼくが寄稿していた『FMレコパル』誌がグラビア頁でとりあげようということになったのだ。FM誌として後発の『レコパル』では、絶対に他誌と同じ方法で記事を作らない、というコンセンサスが編集陣と執筆陣の間で出来上がっていた。そこで、ぼくが思いついたのは、ミラージュ・ボウルということもあって、WARのメンバーにアメラグの格好をさせて写真を撮り、グループ内での各々の音楽的役割をアメリカン・フットボールのポジションで説明してもらう、というアイデアであった。(こういう企画はその後もしばらく続き、stuffやサリナ・ジョーンズらに浴衣を着せたりして、レコパルのアホ企画と笑われたものだ。ライブ・コミックだって創刊当時は嘲笑の対象だったんだぜ。チャーリー・ミンガスまで大喜びしたのにね)
WARの連中は全員大喜び。なにしろ、ヘルメットには編集者と一緒に徹夜で作った「WAR」のロゴまで入っているのだ。
「こんなインタビュー、フォト・セッションは初めてだぜ。なんでも注文してくれ!今日はお前がヘッド・コーチだから、言うことを聞くからな」
と言って、注文どおりに話をしてくれたのである。
翌年、メンバーのひとりで唯一の白人メンバーであるリー・オスカーが、個人的に日本にやって来た。日本のディストリビューターであるトリオ・レコードのA&Rが、
「ミラージュ・ボウルの時に、変なインタビューをしてくれたジャーナリストに会いたい」
とリーが言っている、ついては会ってあげてくれないか、と連絡してきた。何か面白いことが起こりそうな予感がした。だが、後年になってリー・オスカーやWARのメンバーと深い付き合いをすることになるとは、この時は思いもしなかったのだった。
この記事へのコメント
HipよりもCoolよりも、「電車男」って、ワシにはサイコーのホメ言葉だったりします。
ワシも(電車男も)ケロロ軍曹大好きなんですよ。
あ、話が変な方向にいっちゃいました。
なるほど、中高生時代、「レコパルだけがちょっとちがうな~」なんて感じてたんですが。
こういうわけだったんですね。
http://blog.livedoor.jp/iq004847/archives/2006-01.html#20060126
あ、結局、ジャズにもブラック・ミュージックにも関係ないことで申し訳ないです。
「ぶっ」Train Man of Crusaders!
半斥さん、最高の称号を御大から授与!
私のところは半斥さん始め、お仲間の濃さを少し濾過しまして一般ピーポーにも入り易く?オブラートに包んでおりますので今後とも宜しくお願い致しますデス。
「続く」を期待しながら、ではでわ。
全く知らない世界も同時展開、進行しているんだなぁーの感、強し!
それにつけてもIKEGAMI氏は、いつの時代もイキイキしていて「COOL!!」だぜぃ。
>Horirinさん COOLのお褒め、THANXです。行き過ぎのイキイキにならないように行きたい(生きたい?)と思ってます。行き過ぎはウザイもんね。
>Toriさん 書いてると自分でも思わぬことを思い出したりして、楽しいものです。第2回、まもなくデース。
>半斤さん 時間ができたら、ぼくのクルセイダーズネタで寄稿したいと思ってます。普通、Train Manって言われたら嫌がる人が多いのに、知識も性格もユニークですねえ。奥さんは伊東美咲みたいなひとかなあ?
IKEGAMI氏は、興味の対象には深く深く掘り下げて勉強し、分からない事はその道の専門家に、図々しく電話して聞いちゃうような、まぁ行動と実践を伴った思索の人とお見受けしますが、ペンは握るわ口も減らないと云う・・・おかげさまで学ばして頂いております、はい。
そのようなパーソナリティになるのは、生まれもっての資質なのか、あるいは躾?によるのか、その辺りの因果関係を孫のためにも知りたいわ。
あぁ、ビツクリしたぁ。
なにげなく読んでたら私の名前が…(汗)。
行動と実践を伴った、非常にお若い感性を持たれた人ですネ。
資質というか遺伝というかってのも重大要素だし、躾(笑)も要素としては大きいかも…お育ちになった地域性とか時代とかも重要なのでわ(爆)。←何を考察してるのか(汗)。
少なくとも、廻りの方々のノリも隠し味になってるかもデス。
あっ!私は私です(爆)。
男たるもの、ミステリアスな部分を持っていないと、よいブリーディング相手に恵まれないことになります。
犬の世界は直球勝負ですが、人間は直球と変化球の落差がものをいいます。あれ、何の話だろ・・・。
ワンちゃん、プラモ、ジャズ、なぜこんなに趣味?が似ている人たちが集まってしまうのか?
さて塾長は先のご発言から、神秘のベールに包まれたいご様子がアリアリと窺えます。
あのー、そこまで頑張らなくても、私ら寝返ったりしませんよ。塾長について行きますから。ねぇ、みんな!
昔、サルトルの本を必死に読んでた頃、ぼくのテーマは「裏切り」でした。自分の考えに反対する人に寛容でありたいと。だから寝返られても大丈夫。
サルトルといえば、天才サックス奏者のチャーリー・パーカーがフランスでこの大哲学者に紹介された時の一言がおかしい!
「サルトルさん、ですか。いかにもよい音を出しそうですねえ。で、楽器は?」
哲学者が「万年筆」と答えたかどうかは、誰も知らない。
ま、"Flying Scott"ならぬ"Flying Story"でついて行きますデス、はい。